岩国哲人さんが政界を引退、しみじみと語る
衆議院本会議場の私の隣の席に岩国哲人さんが座っている。
自然とこれまでにも、いろいろな相談をさせていただいてきた。
夜も、なんどか一緒させていただいた。
「山田さん、メルリリンチ時代(日本法人の社長)に、マンハッタンの37階で
この八海山(日本酒)をチビリ、チビリやりながら、
「鬼平犯科帳」のビデオを見るのが愉しみだった」
と、目を細めて語ったのが、一番印象に残っている。
ところが、岩国さんはこの1月に突然記者会見して民主党の公認を辞退して、今期限りで衆議院議員を辞められる決意を表明している。
もうすぐ、衆議院議員も任期切れで解散が予想される。
久しぶりに、50歳を超えて衆議院に初当選した「志命会」の仲間数人で、岩国さんを囲んで一杯やった。
しみじみとして、いい宴だった。
「私は22歳のときに、日興証券に入社して、金融界に30年、52歳のときに出雲市長を皮切りに20年間、政治家を続けてきた。
・・・・これから10年間は若者の教育にかけたい」
と語り始める。
岩国さんは、今でも中国、韓国、米国でそれぞれの大学の客員教授をしている。
なかでも、バージニア大学の話は面白かった。
「世界で最も美しいキャンパスで、米国のトーマス・ジェファーソン3代大統領が故郷に築いたもので、もともと彼は建築家だったのだ・・・・・・・」
トーマス・ジェファーソンと言えば、世界史に残る「独立宣言」を起草した最も有名な大統領である。
独立宣言に記載された「自由と平等、誰でも幸福で最低の生活をおくる権利」は一切の修正は許されない。後世、この宣言文を修正しようとすれば、瞬時にして「宣言文」は地底1000メートル下まで落下する仕組みになっていると言われている。
岩国さんからお聞きしたが、そのトーマス・ジェファーソンのお墓に、昭和天皇が亡くなられる2,3年前にお参りされたそうだ。
体調もお悪かったであろう昭和天皇が、ジェファーソンのお墓に最後に訪れたことには、深い思いがあったのではないだろうか。
岩国さんは、いつものシニカルな調子で語られた。
「小泉元総理は、バージニア州まで来てプレスリーとお逢いしただけだったらしい・・・・・」
お墓は、バージニア大学の裏にあって、何の変哲もないが、3つのことが刻まれているそうだ。
一、 独立宣言を起草したこと
二、 信教の自由を、はじめて法律で定めたこと
三、 ふるさとにバージニア大学を創立したこと
聞いているうちに、私もジェファーソンのお墓におまいりしたくなった。・
岩国さんの最後に結ばれた。
「私は幼いころから、政治家になりたい、新聞記者になりたいと思っていた。
なんとか、これまでにその思いは達成できたようだ。
実は、私の父は高校の教師をしていた。
72歳からの10年、教育にすべてを捧げたい」
晴れ晴れとした、柔和な顔だった。










